第2回編集教室 「心がまえと校正者の読み方」~実習でわかる校正・校閲のキホン
開催日:2016年6月23日(木)
会_場:コミュニケーションプラザ ドットDNP 2階
時_間:18:30 ~ 20:00
講_師:栁下恭平(やなしたきょうへい)氏
受講者:90名
今回の講師である「鷗来堂」社長の栁下恭平氏は、書籍の校正・校閲を専門とする「鷗来堂」を2006年に設立、若い校正者を育てることや、装丁、校閲、電子書籍化など、制作フローの効率化などを手がけ、さまざまな角度で出版の未来を考えてこられました。そして2014年11月には神楽坂に「かもめブックス」をオープンし、話題を呼んでいます。今回は、実習を交えた校正・校閲の講義をしていただき、大好評でした。
講義の細かい内容は残念ながらネットに公開できませんが、私たちのような校正・校閲の専門家でない編集者が、何を注意して校正・校閲をしたらよいか、とても参考になりました。
ひとつは、伝えたいことがあって執筆する作家がいて、読者への橋渡しをする編集者がいて、そして読者の立場で間違いを見つける校正者がいるということを認識すること。つまり校正・校閲をするときは校正者としてのみに専念することが大事、ときっぱり。校了寸前でも間違いがあれば間違いと指摘すること。「文字は読んでも、空気は読まない」というのが校正者である、と自覚することが大事。
そして実際に校正・校閲をする段階で一番大切なことは、文字を一字一字読むということ。それはどういうことかというと、私たちは普通“あいうえお”と習っていますから“い”の次に“う”がくることを脳が知っています。だから“あいえうお”になっていても気がつかないことが多い。読書と校正・校閲は違う読みかた、とのこと。
また、誤植には、いろいろ種類がありますが、見落としてはいけないのは「回収リスクのある間違い」。固有名詞やデータのミス、差別や不快な表現は、読者のクレームや、まかり間違えば回収リスクになりますから、絶対に見落とさないようにと注意をされました。
最後に「校正・校閲は、情報発信の最後の砦である」と自覚して、必ず一字ずつ見るという基本に立ち返ること。そして自分で思い込みをしていることが多いので、校正・校閲をした自分をも疑い、立ち止まることが重要です、と締めくくられました。
途中で、実習も交えユーモラスに、また真剣にお話しする栁下氏の講義内容は、受講者の大半は編集者でしたので、思い当たることがいっぱいのようで、大変勉強になった講演でした。