第8回編集講座-「出版の将来 ―― 本の未来はこうなる」
開催日:2016年3月17日(木)
会 場:コミュニケーションプラザドットDNP2階
時 間:18:30~20:00
講 師:永江 朗(ながえ・あきら)氏
受講者:70名
【講師紹介】永江 朗(ながえ あきら)氏
1985年北海道生まれ。法政大学文学部哲学科卒業。約7年間の洋書系書店勤務の後、雑誌『宝島』『別冊宝島』などの編集を経て、フリーライターに。出版関連の著書に『本を味方につける本 自分が変わる読書術』(河出書房新社)『「本が売れない」というけれど』(ポプラ新書)などがある。
今年度最後の「編集教室」のテーマは、「出版の未来」について、永江朗氏に語っていただいた。「出版不況ということを前提に業界の人は語りますけれど、私は出版不況ではないと思っています」(『ユリイカ』3月臨時増刊号「出版の未来」より)という永江氏は、現在の出版の事情をどう見ていて、これからの編集者のありかた、姿勢はどうあるべきと思っているのでしょうか。
まず、永江氏に事前に作成していただいたレジメの前半には、「私は、読書離れになど全然なっていないと感じています」と力強い言葉が書かれていました。その根拠をデータを挙げて解説。「むしろ、読者にとっては、今は天国のような時代、ほしい本はすぐ手に入り、図書館は充実しているし、電子書籍もいつでも読めるし、ブックオフやアマゾンでは古書も手に入るなど、大変、幸せな時代なのです。出版不況などではないと実感しています」とのお言葉。
「ただ、古代からメディアは形を変えてきました。粘土板がパピルスになり、紙になり、そして今はデジタルになってきています。新しいメディアができれば、それに合わせた「出版」が必要になってきます。メディアが変われば、表現も変わります。紙である必然性のない書物は、紙でなくなるわけです。そこが現在の出版界が停滞していると思われている原因のひとつかもしれません。
しかし、メディアは変わってもコンテンツは変わりません。これからは、誰もが発信者になっていく時代ですし、それも早く、広くなっていきます。
そこには、今まで以上に「編集」という仕事が大切になってきます。編集とは、情報を選び、整理する作業のことを言います。それができるのが、編集者の皆さんなのです。
そう考えますと、これからは編集者の時代だと、私は思います。
時代に対応できない会社は不況になっていくかもしれませんが、優秀な編集者はますます必要になっていくと思います」
本を読まなくなった、出版不況で大変だ、どうしたらいいのか、といったことを言っていても何も始まりません。永江氏の「これからは編集力を持った編集者の時代だ」という主張には、本日、この講演を聴きに訪れた多くの編集者に、力強いメッセージになったと思います。
なんとなく私たち編集者の将来に、希望のヒントを見出したような気がしました。
講演の後、年間8回の編集教室に皆勤した方に、修了証書を授与する修了式が行われました。
今期は、6名の方が受賞いたしました。
今後もがんばってください。
今期は、6名の方が受賞いたしました。
今後もがんばってください。