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基礎から学ぶ編集講座
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第6回編集講座-電子書籍「電子書籍の今日と明日―だれが電子書籍で生き残れるか

開催日:2016年1月28日(木)

会 場:コミュニケーションプラザ ドットDNP 2階

時 間:18:30 ~ 20:00

講 師:植村八潮氏(日本出版学会副会長、専修大学教授)

受講者:75名

【講師紹介】植村八潮(うえむら・やしお)氏

DSC01530 1956年千葉県船橋市生まれ。東京電機大学卒。東京電機大学出版局に入社。12年退任後、出版デジタル機構社長、会長を歴任。現在、専修大学教授。日本出版学会副会長、情報メディア学会副会長などを務める。著書に『電子出版の構図 実体のない書物の行方』など。

【内容】

 近年、紙の出版物の衰退はもうニュースにならないほどになってしまいましたが、一方、電子書籍、電子出版は着実に伸びているといわれています。しかし、なかなかビジネスには結びつかないのも現状のようです。
 今回は、電子書籍の現状と、今後の問題点について電子書籍業界の第一人者である植村さんに分かりやすく語っていただきました。

 まず、「出版市場の推移は、1996年に2兆6564億円(出版物販売冊数は1995年39億1060万冊)だったものが、2015年には1兆5520億円(出版販売冊数は6億2633万冊)に激減している(出版科学研究所『出版指標年報』」。
 という衝撃的な事実から話は始まりました。
 「一方電子は、コミック分野が牽引し、また電子雑誌『dマガジン』の急拡大により、市場規模は1502億円に膨れ上がってきた。その背景には携帯やスマホ、タブレットなど、電子書籍端末の普及がある。そしてこれは、活字離れではなく、情報流通の変化と読書の多様化によるものだろう」
 と、電子書籍の現状を語る。そして、
 「電子書籍とは何かといえば、物理的なパッケージがなくなり、表示デバイスに依存したコンテンツと考えなければならない。そこではブランドはなくなるし、書籍と雑誌と新聞の境界は溶けていく。フロー情報であれば、5W1Hの新聞記事はネットに不向きで、ショートメッセージやヤマとツカミのある雑誌記事的なコンテンツが主流になっていく」とした。
 さらに、「今は、パッケージがある紙で作られたコンテンツを、電子に持っていこうとする傾向が強いが、それでは本当の電子コンテンツは生まれない。今までとは違う、何かドラスティックな変化がないといけないだろう、今までの経験則の積み重ねからは、新しいものは生まれない。紙で育った50代以上の人たちと、生まれながらにしてコンピュータを知っている20代以下の人たちとは、電子に対するリテラシーがまったく違う。漫画を「縦に読む世代」と、「面で読む世代は」どちらも相手の世代のことは理解できないだろう。
 現在はまだ、その二つが混沌と混じっている時代だ。ゆえに、本当の電子書籍の時代は、
 電子に合う新たな表現方法が開発された後にやってくるだろう」
  と結論づける。
 しかし、現在50代以上の人を少し勇気付けるかのように、
 「今50代以上の人はまだ心配することはありません。紙の時代はあと20年は続くだろうから」
 と……。

 お話が始まって2時間、速射砲のように語り続ける植村先生の講演に、聴衆の皆さんはまるで酔ったように、お話が終わってもなかなか席を立とうとしませんでした。

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