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基礎から学ぶ編集講座
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第4回編集講座-『海外の出版事情を知ろう―日本の出版の行方は?』

開催日:2015年9月17日(木)

_場:コミュニケーションプラザ ドットDNP 2階

_間:18:30 ~ 20:00

_師:下村昭夫氏 (出版メディアパル編集長)

受講者:65名

【講師】下村昭夫氏(しもむら・てるお) 略歴

下村昭夫氏1942年大阪市生まれ。1961年オーム社に勤務、41年間編集職に従事。
1981年、出版労連「出版技術講座」運営委員に選出。
1987年「日本出版学会」に入会。1995年「出版技術講座学校長」に就任。
2002年、オーム社を定年退職、出版メディアパル編集長に就任。現在に至る。

【内容】

第4回編集教室は「世界の出版事情はどうなっているのか~日本の出版の行方」を探る講座でした。
取次を通して本が売られていく時代から、ネット書店を通して本が買われていく時代にゆったりと移行しているのが、現在のわが国の出版状況です。
果たしてわが国の出版はこれからどうなっていくのか? アメリカをはじめとする先進国の出版状況が、やがては日本の出版状況となっていくのか。あるいは、独自の動きをしていくのでしょうか。
出版メディアパルの編集長で、世界の出版事情に詳しい下村昭夫氏に、その辺の事情を分かりやすくお話していただきました。

下村氏は、日本の出版事情を前半に、世界の事情を後半に、予め用意されたレジメを中心にお話をされました。レジメは、B4のサイズに6コマに圧縮されたものが10ページに及び、統計が豊富で120コマの充実した資料でした。

限られた時間の中で、駆け足ではありましたが、中身の濃い講座でした。
海外の出版事情のお話では、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国、中国などを中心に、各国の特徴、すぐれている所、日本との違いなど述べられ、当面する新しい課題についても触れられました。

お話の中で、各国の特徴を簡単にまとめると、
アメリカでは、再販制度や委託販売制度がない。町の本屋さんには雑誌を置いていない。ハードカバーは減少、オーディオブックや電子書籍が急増。出版点数は20万点。総売上げ270億ドル。輸出量16億万ドル、英語圏は海外に売れる圧倒的な強みがあるとのこと。本の定価付けは、日本が直接製造原価の3倍程度が基準だが、アメリカでは5~6倍で設定しており、その分「市場でディスカウント」されているという。

イギリスでは、注文販売のみで委託制度はない。再販制度は、あったが、今では、崩壊している。総売上げ34億ポンド、輸出額12億で45パーセントが海外で売れている。書店での販売より、インターネット書店の売上げがすでに逆転している。書店の総売上げは過去10年間安定しており、日本のように右下がりではないとのこと。

ドイツでは、電子書籍は総売上げの約4パーセントで、価格拘束が適用される。トリノ・アライアンスの逆襲(アマゾンのキンドルよりトリノ・アライアンスという端末機の普及率が高い)が成功裡に進み、出版業界全体で危機感を共有、アマゾンは恐くないという意識がある。
ドイツで特徴的なことは、昔から「ドイツ書籍学校(現・メディアキャンパス)」という本の学校があること、そうした本の学校でカリキュラムを3年間学んでライセンスを取らないと、書店員の資格が得られない。
代表的な取次ルートは二社あり、取次ルートのシェアは35%程度ある(その他は、小さなデストリビュー(配送会社)に依存している)。注文品が当日の夜7時までに注文すると、書店に翌朝の開店前には届くという。

フランスでは、総売上げ金額26億ユーロ、統計で面白いのは、1級書店(専業店)が28パーセントのシェア、大型スーパーが27パーセント、2級書店とWeb書店が16パーセント。そして、取次と別に、出版社が傘下の流通会社を持っていることが特徴的。電子書籍にも価格拘束法が適用されている。

韓国では、新刊発行点数4万7590点。売上げ統計は出ない。推定売上げの計算法は、「平均定価×発行部数×2(「2」は重版を想定)。すべての本が「重版される計算法」になる。書店さんが激減。5683店あったのが1625店になった。
最後に下村氏は、「韓国では、『教保文庫』の入り口に〝人間は本を創り、本は人間を創る。本は永遠である″という言葉が掲げられている。私たちも、そんな素敵な言葉を掲げて、本を創ったり、売ったりしたいものです」
と結ばれました。
 
講義の様子  

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