第3回編集講座-『ここが校正・校閲の落とし穴―編集者のための校正技術』
開催日:2015年7月16日(木)
会_場:コミュニケーションプラザ ドットDNP 2階
時_間:18:30 ~ 20:00
講_師:若藤えい子氏(元講談社ビジネスパートナー校閲部)
受講者:130名
若藤えい子(わかふじえいこ)氏。東京教育大学卒業。1972年、講談社出版サービスセンター(現講談社ビジネスパートナーズ)入社。文芸、学術、 生活・実用、雑誌、児童物など、さまざまな出版物の校正・校閲業務に携わる。主な校閲歴は『日本語大辞典』『講談社百年史』「講談社文芸文庫」「Box Air」(電子書籍)など。現在はフリーで校正・校閲の仕事を行う。
【内容】
今回は、福井県ご出身、講談社出版サービスセンター(現講談社ビジネスパートナーズ)で校正・校閲一筋に42年というキャリアをお持ちの若藤えい子さんに、校正の極意について語っていただきました。大雨の予報にもかかわらず、定員をはるかにオーバーした受講生がつめかけ、校正、校閲に関する関心の高さが伺えました。
まず若林さんは、校正する時の心構えからお話を始め、誤植など見逃しやすい場所・状況、出やすいミスなど、書画カメラを使い、経験を元に分かりやすく語ってくださいました。以下は、若林さんが語ってくれた校正するときの注意点の一部です。
- まず、校正の心構えとして、環境を整え、気持ちを切り替える。校正の七つ道具をそばに置き、形から入っていくことが大切。
- 必ず2回見ること。1回目は蟻の目、2回目は鷹の目で読む。1回目と2回目を続けてやらない。気分転換をする。
- 集中力は、長く続かないので50分読んだら、10分休む。自分なりに目安を持って。
- フィクションかノンフィクションか、署名原稿か否か、著者の年齢、などなどで、ギアを切り替える。
- 書き手に対してリスペクトを持つこと。敬意を払う、これは一番肝心。自分は作品を書けない、いちばんものを知らない、という謙虚さが大事。
- 実践的なお話では、改頁・改丁の時ミスが出やすい。ページの末と頭など文字が不連続なところ、平仮名や片仮名が連続するところ、誤植を見つけたそばも見落としやすい。だぶり、約物の処理にも注意。再校以降では、赤字の周辺や差し替え箇所に注意が必要。
- 入力方法で、誤植の傾向が分かる。同音・同訓の間違い、変換ミス。1文字ずつの入力ではつくりが似た文字に注意。OCRによる入力は、アットランダムに1パーセントのミスが発生すると思って校正すること。
- 数字や単位もミスが出やすい。関連するものに齟齬がないか、本文とキャプション、見出し、図版との齟齬がないか、本文と目次見出し・柱の照合、パーレン、かぎカッコなど対になっている記号は起こしと受けを確認。
最後に受講生から活発な質問が出て、盛会のうちに終了しました。みなさん、校正には苦労しているようで、切実な質問が多く出ました。