第2回編集講座-本作りの奥義「編集者の仕事 ― 本の魂は細部に宿る」
開催日:2015年6月18日(木)
会_場:コミュニケーションプラザ ドットDNP 2階
時_間:18:30 ~ 20:00
講_師:新潮社・元書籍編集者 柴田光滋氏
受講者:70名
今回は、名著『編集者の仕事―本の魂は細部に宿る』(新潮新書)を執筆なさいました柴田光滋氏をお迎えして、「しっかりした本作り」の講義をしていただきました。
柴田氏は、40年間に渡り新潮社に勤務。吉田健一、安部公房、丸谷才一、辻邦生など、多くの文学者を担当、その間に会得した本作りの奥義を具体的に解説してくれました。
「本の良し悪しは、読まなくてもわかる。なぜなら『いい本』には、帯から奥付まで随所に工夫が凝らされているから」と語る、柴田氏の本作りの秘密は…。
①まず、「校正、校閲のレベルが低い本はいけません。版元のレベルがわかります」とピシャリ。
②帯の文字はいかに短く、端的に内容を表しているか、が大事です。
③本文の組み方をどうするかをイメージしましょう。デザイナーに丸投げしないで。
④余白の重要さ。小見出しのつけかた、引用文は、前後1行あき、2字下がりで。
⑤索引はなるべく作りましょう。面倒をいとわないことが大事です。
⑥目次は、第2の帯です。目次の作り方で、編集者のレベル、熱意がわかります。目次には、「実用」と「宣伝」の役割があります。すっきりした、いい目次は「内容」と「レイアウト」の二つの側面があり、どちらが欠けてもだめ。両方あいまっていい目次になります。
⑦編集者は本を作って終わりではありません。自分の作った本が書店のどの位置にあり、どう見えているか、売れ行きはどうか、確認しましょう。
柴田氏は担当した実際の本を手にして、穏やかな語り口で講義をしていましたが、こうやって印象に残った言葉の断片を並べてみると、非常に厳しくまた、奥が深いな~とため息がもれるようなことばかりでした。
紙の本作りの面白さ難しさの一端を垣間見たひと時でした。