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シダックス株式会社 経営企画本部 広報宣伝室 室長 久保田唯芙子 本屋で売れる広報誌
久保田唯芙子 シダックス株式会社 経営企画本部 広報宣伝室 室長 久保田唯芙子 YUKO KUBOTA
2008年より現職。2004年7月に本社を渋谷に移転したのを機に掲げられた「マザーフード」の理念を社会に浸透すべく、社内外へ精力的に発信している。
ホームページ、ブログ、ツイッターなどの新しい企業コミュニケーションツールが生まれるなか、あえて「紙」の広報誌をリニューアルし、企業コミュニケーションの中心に据えた企業がある。給食受託事業やカラオケルームを運営する、シダックスグループだ。それは、経営トップの「本屋で売れるものを」の一言から始まったという。
「マザーフード」という基本理念のもと、2007年に刊行された雑誌とフリーペーパー『マザーフードマガジン「旬」がまるごと』を中心とした、シダックスグループの広報戦略はいかなるものか。同社 経営企画本部 広報宣伝室 室長 久保田唯芙子氏に聞いた。

「マザーフード」の想いを伝えたい

御社の広報誌『マザーフードマガジン「旬」がまるごと*1』が話題です。創刊当時、書店売りの雑誌形態をとっているということで注目を浴びましたが、この雑誌はどのようにして誕生したのでしょうか?
弊社は今年会社設立50周年を迎えさせていただいたのですが、シダックスというと、どうしても消費者向けの「カラオケ」のイメージが強く、創業が給食事業であるということが、あまり知られていませんでした。そのため、2004年7月に本社を渋谷に移したのを機に弊社の事業概要を一言で表す「マザーフード」という言葉をつくり、社内外に「マザーフードのシダックス」を謳いはじめました。マザーフードとは「母なる地球が育んだ豊かな大地と海の恵みを、すべてのお客さまに母親のように真心を込めてお届けする」という意味が込められています。
このマザーフードという理念のもと、弊社は現在、全国約3,000箇所、1日平均60万食を提供しており、病院、学校、会社、そして、ウエディングからホスピスまで、あらゆるシーンやライフステージで、「食」を提供しています。誰でも人生のなかで一度はシダックスの食事を口にする可能性はあるんですね。そのため、幅広い方々に弊社が「食」の会社であるということを伝えたい、ということと同時に、社長には「本屋でも売れる雑誌のような質の高い広報誌に変えたい」という想いがありました。
経営トップからの強い要望があったということですか?
そうです。質の高い雑誌のような広報誌を実現することがミッションの一つであったため、クリエイティブエージェンシーに相談しました。要望としては、弊社はマザーフードという理念のもとに、「食」を提供する会社であるということを伝えたいということ、そしてシダックスグループは全国約3,000箇所で「食」を提供しているのですが、そこに訪れるお客さまに無償配布できるもの、書店で売りながらも、弊社のお客さまには無償で配布できる、そういうことが両立する質の高い広報誌をつくりたいと伝えました。
そして、提案されたものが『マザーフードマガジン「旬」がまるごと(以下『「旬」がまるごと』)』でした。書店売りする雑誌から抜粋したものをシダックスが運営する店舗にフリーペーパーとしておく、という形態を提案されました。奇数月発行でコンセプトは「1冊まるごと一つの食材」で、それをさまざまな切り口で伝えていく。それも特別な食材ではなく、日頃食卓にあがりやすい食材を紹介するというところも、「マザーフード」のコンセプトと合致していました。
制作にポプラ社を選んだ理由は、質の高いものがつくれるということ、そして児童書をコアコンピタンスにしている経験から、食育の大切さを理解しているということです。ポプラ社ならば、弊社の想い理解してくれて、パートナーシップを結びやすいと思いました。
同時に、マザーフードというコンセプトのもと、『「旬」がまるごと』のテーマ食材と連動してメニューフェアを開催するということも提案されました。マザーフードという理念を実行に移す企画であったことと同時に、弊社の営業をバックアップする提案であったため、やってみようということになりました。

「さりげなさ」が、企業ブランド向上につながる

書店売りしているということでも驚きなのですが、従来の広報誌とちがうのは、御社の広告が表4と中面一見開きだけで、あとの内容は編集部におまかせだとか。
以前の広報誌は、シダックスの宣伝が全面に出ていたのですが、『「旬」がまるごと』では、シダックスがやっているということをさらりと伝えたかった。だから、読者も気づかないことがあるかもしれません。特集となるテーマ食材は編集部と協議して決めていますが、目次に小さく「特別協力」とあるのと、表4とシダックスグループの事業を紹介している中面の企画ページ『マザーフードの作り方』だけです。
やはり、従来のように「シダックス」が全面に出ていたのならば、消費者の方は企業の押しつけを感じると思います。「どうせ、企業の宣伝でしょ」とバイアスをかけて記事を読むでしょう。企業の自己満足ではなく、『「旬」がまるごと』を読んでいただいたお客さまの心に何を残すのか、それがシダックスのイメージアップにつながればいいと考えています。ですから『「旬」がまるごと』の役割は、高品質な雑誌として、お客さまに書店で手に取ってもらい、楽しんでもらえる、それを提供しているのがシダックス、という「さりげなさ」がポイントだと思っています。それがジワジワと広がっていけば、企業ブランドの向上につながると考えています。
最新号はかぼちゃがテーマですね。
はい。ですから、10月には、全国約1,200の施設でかぼちゃフェアを行いました。社員食堂やカラオケにいくとかぼちゃのポスターが貼ってあって、かぼちゃのフリーペーパーが置いてあって、かぼちゃのメニューがあるんです。それを利用された方が、本屋で本誌を見つけて「あ、これ、シダックスがやってるの?」と思っていただければ、成功だと思うんですね。読者の方にかぼちゃを通して「食の大切さ」、かぼちゃが食卓に並ぶにも、いろいろな人が関わっているというのも知っていただければ、「マザーフード」という理念を通して、社会貢献につながるのではないかと思います。

 

マザーフードマガジン『「旬」がまるごと』 マザーフードマガジン『「旬」がまるごと』

*1 『マザーフードマガジン「旬」がまるごと』2007年創刊。奇数月発行。日本人の「食生活」と「食のリテラシー」を豊かにするがコンセプト。1冊まるごと「キャベツ」「まぐろ」など、食材をワンテーマに絞り、プロのすすめるレシピ、産地紹介などさまざまな切り口で紹介している。雑誌版(写真右)は96ページ程度で発行元はポプラ社、そこから22ページを抜粋したフリーペーパー(写真左)は発行元はシダックスグループとなっている。フリーペーパーは7万部発行。食材によっては一年前に取材・撮影を終わらせていることもあるという。

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