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「つながり」が生む、新しい編集者── 自分がプラットフォームになる時代 ゲーム作家・新しい編集者 米光一成 氏

夕方の散歩で電書を交換する風景

僕が描く電書の未来の一つとして、おじいちゃんが孫の書いた絵をもとに電書をつくって、夕方の散歩中に会った知人に渡すという風景があります。電書が日常に溶け込んでいる、そんな風景が見られるようになることが、市場拡大に欠かせないと思っています。 僕が考える電書は、ある日突然来襲した脅威の黒船ではなく、下町の野良猫みたいなもの。街中のあらゆるところを、行き来している気軽なものです。これだけ制作コストが下がって、自由度が高くなったのに、「パッケージ化されたコンテンツ」という従来の狭いビジネス領域でしか、想像が飛び立てていない。すごくもったいないことだと思います。

ビジネスのものと、そうでないものとさまざまなレイヤーが折り重なって、より日常に溶け込むものになってこそ、電子書籍の市場が豊かになると思っています。

スカイプで編集部に入り浸り

米光さんはソーシャルメディアを駆使した仕事の仕方でも注目されています。スカイプ上にバーチャル編集部を立上げているとか。

僕がライターをしている『エキサイトレビュー』と、編集長を務める『電書雑誌よねみつ』では、編集会議をスカイプのグループチャットでしているんです。『電書雑誌よねみつ』は、全員がリアルで集まったことがないんですよ(笑)。 最近、音声のスカイプは普及してきましたが「何時にパソコンの前に」とみんなが同時に集まらないといけないし、参加できない人には別にフォローしなければならなくなります。でもスカイプチャットだと、伝言メモみたいな感じで書き込みができますから、その日のみんなの発言が一目瞭然なんです。 たとえば『電書雑誌よねみつ』では「次の号はこういう企画で何日くらいに締めにしたいと思います」と書き込んだら、数時間後にある人は「了解!」と書き込んでいたり、ある人は「その辺りは忙しいので、スケジュールずらせませんか?」と書いてきたりします。 『エキサイトレビュー』では「今こういうネタで困っているんです」と投げかければ「その方面に強い人、知ってます」と、ほかのライターさんが情報提供してくれたり、原稿のネタがかぶるといけないので、チャット上にアップしてお互い確認しあっています。たまに同時にログインしていると雑談になって、仕事が進まなかったりすることも(笑)。 ソーシャルメディアのいいところは、連帯感が持てるところだと思うんですね。メールでもやり取りは可能だけど、敷居が高くなってしまうんですよ。雑談みたいな会話は難しいし。その点、スカイプのチャットだと「ん?」みたいな発言もできます。さすがにメールでは、リアルで会ったことのない人に「ん?」だけの短い返信はできないですよね(笑)。 僕が思うに、きっとこの感覚は昔、編集部に入り浸って仕事をもらっていた時代と同じなんじゃないかと。だから、毎日編集部に打ち合わせに行っている気がしています。

ソーシャルメディアの登場で仕事の仕方も変わってきているんですね。

ツイッターとフェイスブックの登場で、コミュニケーションの「仕組み」の重要性に改めて気がついた人が多くなったと思います。 スカイプもフェイスブックも、人と広く深く付き合うことのできるメディア。だから自分に不得意なことがあっても、その分野に強い人を連れて来て助けてもらえる時代です。それには自分の弱みを自覚して、伝えて賛同してもらうことが大事。そうすればその人と協働して、自分は得意な分野をどんどん伸ばしていけます。 僕はまったくその典型で、その時々によって肩書きも違います。今までの仕事の区分や、やり方に固執する必要がない時代なんですよ。

より自分の専門性やテーマが問われる時代なんですね。

自分のなかにあるテーマと外の世界をつなぐことが編集者の仕事であり、ソーシャルメディアのおかげで、それを簡単に世に問うことができる時代になりました。 僕はソーシャルメディアの登場は、編集という技術の解放ではないかと考えているんです。ツイッターは自分でフォローする人を決めて、自分で編集し、自分の世界を作り上げます。自分が編集長です。そこがコミュニティのハブになって、人気が出れば自分がプラットフォームになれる。自分の得意なこと、テーマで勝負できる時代が来たと言えるでしょう。 編集の本質的な意味である、「人を集めて編む」というのは生き方そのものだと思うんですよね。そういう意味で編集という仕事の可能性は、ますます広がっていくと思います。

米光氏の仕事紹介
『OnDeck』

●講談社プロジェクト・アマテラス http://p-amateras.com/ 米光氏がアドバイザーとして参加している講談社の新規プロジェクト。講談社と各プロジェクトに集う参加者が一緒になってコンテンツを作り上げるという制作スタイルから、新たな才能を発掘する。
『OnDeck』

●電書雑誌よねみつ 米光氏が編集長を務め、2011年に創刊した「電書雑誌」の実験版。13号まで発行。発行時、米光氏は「電書ロイド」と称し、ツイッターで居場所をつぶやき、歩く電書売りとして活動。今後は違うかたちの電書を発表予定だ。
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