これだけの規模のサイトを運営し、そのクオリティを維持していくには、制作会社とのパートナーシップも非常に重要ですよね。
『ガイアイア』は社員だけではなく、社外の人もうまく巻き込みながら運営しています。制作スタッフがこちらの「想い」を共有してくれているので、すごく助かっています。こちらの意向をすべて理解してくれた上で、「こうしたいんでしょ?」と提案してくれるので。
『ガイアイア』もそうですが、『環境経営報告書』の制作スタッフに関しても一緒にものをつくりあげているという感覚があるんです。環境報告書で、ずっと一緒にやっているライターさんは、打ち上げで飲みにいくと「次はこうしよう」と熱心に提案してくれたりします。「こうしよう」「ああしよう」とコミュニケーションのキャッチボールができて、花を咲かせているような感じなんです。
そのライターさんには『ガイアイア』にも協力してもらっていて、『環境報告書』の取材でのこぼれ話を『ガイアイア』のコラムで書いてもらったりしています。ガイアイア単体では制作費に限りがありますので、そうした工夫でコンテンツが充実してくる。それも日頃からの信頼関係ができているパートナーシップがあるからと思っています。
なるほど。予算に制限のある中で質の高いサイトをつくるには、制作会社との強いパートナーシップが必要だということですね。
制作費をかけないという意味では、社員の投稿が一番役に立っています。弊社の環境ボランティア活動は交通費を会社が一部負担しているのでその代わり「写真と文章を『ガイアイア』に載せさせて欲しい」と言っているんです。『ガイアイア』ができる前はその写真も活動報告も活用されていませんでした。そういった社内、社外の力を巻き込むことで、サイト自体が進化していく。サイトが生き生きしているように見えるのも、そういった社内外の協力があるからこそだと思っています。
社内向けのサイトを社外にも開放していくことにはそれ相応のリスクが伴います。制作にあたって社内のハードルはなかったのでしょうか?
『ガイアイア』は、社員が地道に環境ボランティア活動をしているということをきちんと伝えていくということが主旨なので、企業としてのネガティブな発信にはならないだろうという判断でした。
社員同士が刺激を受けるという狙いもありますが、むしろ社外に見られるということで、裏表のない「環境経営」をしていくんだという意識も高まりました。
よく「環境コミュニケーションってなんですか?」と聞かれるんですが、環境コミュニケーション自体が環境保全活動なわけで、いろいろなコミュニケーションの方法を使って、持続可能な社会の実現をめざしていくということです。
持続可能な社会の実現のためにしなければならないことを、その都度明確にして取りくむ。それを実行するのは社員一人ひとり。その人たちのの意識が高まることが、結局は企業の存続にもつながっていくのだと思っています。『ガイアイア』で社員が自分の言葉で環境を語ることで、他者への働きかけができる。『ガイアイア』を見た人が「リコーはこんなことをやっているんだ。だったら、うちはこうしよう」と思ってもらえるといいと思うし、それがリコーがいい会社だと思ってくれることにつながる、という循環ができていけばと思っています。