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ライター 上阪 徹氏 プロフェッショナルの仕事 窶披€鐀 読者に幸福になってもらうために

編集者は突き抜けるための努力を!

そんな上阪さんにとって、編集者とはどんな存在ですか?

「パートナー」です、一緒にいいものをつくっていく。読者に利益を与えるためにいいものを一緒につくっていくパートナーだと思います。
昨年くらいから、電子化で編集者はいらない、という意見も出ていますが、編集者なしには、僕はいいコンテンツはつくれないと思います。編集者は僕ら以上に世間の相場観を持っていて、ライターの僕は特集ページしかみていないけど、編集者はもっと広い視野で見ている。読者だったり、売れ筋だったり、世の中の流れとか、視点を高く持っていますから。電子化でダイレクトに読者とつながれるという人もいますが、「やれるものならやってみぃ」って思います(笑)。

逆に編集者が、電子化の時代でも仕事の質を高めていければ、そんなふうに言われることもないのかもしれませんね。

だから、編集者には、自信を持って「こうしたい、ああしたい」って言ってほしいですし、「こうしたい」って言えるだけの努力をしてほしいと思っています。自分が面白がって、こだわれる仕事が一番楽しいと思います。『週刊現代』も編集長が代わって、部数が大きく伸びたんですけど、スゴイ突き抜けている(笑)。しかもそれを楽しんでいるんですよね。
そもそも読者はすごい力を持っていると思っています。作り手が胸を張ってつくっているか、すり寄ってつくっているか、わかってしまうと僕は思っているんです。たとえば広告も、後ろめたい気持ちでつくられたコピーが並んだ広告は、実は消費者には伝わっちゃうし、「売らんかな」で企画した本は、それが読者に見え見えだと思っています。
『プロ論。』も毎号、毎号、魂を込めて原稿を書いていたので、売れるかどうかは別として、一定の人には受け入れてもらえるだろうと僕は思っていました。でも、最初企画を持っていった出版社では「インタビュー集は売れないんだよね」と言われて一蹴された。結果として徳間書店から出してもらえたんですけど、売れた時は「やっぱり、読者はわかってくれている」と思いました。
文章に携わる職業は、編集者にしろ、ライターにしろ「人の人生を変えてしまうかもしれない仕事」という意識が必要だと思います。先日も、ある会社の営業マンの人に、「僕、『プロ論。』読んで転職決めたんです!」と言われました。そんなふうに言われたことが、今までにもたくさんあります。だから僕は、いつも文章の「怖さ」を感じていて、「生半可な仕事はできない」と思っています。

『プロ論。』から得たもの、学んだこと

プロ意識もそうですが、相場観や、お客さま視点は漠然と考えてはいたものの、きちんと自分のものになっていったのは、多くの著名人へのインタビューを通じてだと思います。
僕は今まで延べ3000人くらいの一流といわれる人にインタビューしていますが、アスリートでも企業の人でも、トップを走っている人は、独自の哲学を持っています。それに触れるだけでも教えられることが多かった。 著名人のインタビューを始めたばかりの頃は、僕も若かったので、単純に「どうすれば成功するんだ?」とか「どうしたらこんなに稼げるんだ?」という興味が先にありましたが、だんだん、インタビューを重ねていくうちに、人間としてきちんとしている人が多い、ということに気づいていきました。
たとえば、感謝する気持ちをいつも持っている、サービス精神が旺盛、いつもにこやかにしていて、すみずみまでに気を配ることができる。人としての基本が徹底していたり、人としての奥深さを持っていることがわかってきました。
実は成功って、幸せとは関係がないんですよね。僕にとっての「成功の定義」は、いろんな人のインタビューを通じて変化していったんですが、目が輝いている人って、お金や社会的地位とかに比例していないんですよ。
『アントレ』という起業独立の情報誌で、自分で夢を持って独立した人たちのインタビューをしていた時期が長くあったんですが、成功している、していないにかかわらず、インタビューにいくと目を輝かせて、生き生きと語ってくれる。そういうのを見ていると、ふと、「昨日インタビューした大会社の部長とどっちが輝いているだろう」と考えたら、断然、前者なわけです。
実は世間でいわれている幸せの定義や成功のモデルと、現実は大きく乖離している。いい大学を出ていい会社に入って、というモデルとは違う生き方をたくさん見てきましたが、そういう人生もあるし、そういう幸せのあり方もあるのだということを、きちんと読者に伝えていくことも使命だと思っているんです。
読者は何を求めているのか。突き詰めて考えればいろんな求めがあるんだと思いますが、意外に少なくないのは、自分が幸せだと思っていないことだと思います。特に、今の若者たちはすぐに「ツライ」と言って仕事を辞めたりしますが、だいたい前提が間違っているんです。そもそも生きていくこと自体、大変なんですから。その前提をわかっていないと、大きく勘違いしてしまう。でも、誰もそんなことは教えてくれないですからね。
インタビューさせていただいた著名人だって、最初から成功はしていないわけです。むしろひどい時代が長い。努力は当たり前のこと。つらい下積みの時代をどう受け止め、乗り越えていけるか。それこそが、その後の人生を決めるんだということを、読者に伝えたかった。人生は自分の考え方しだいで、どうにでも変わるんだということです。苦労でも挫折でも、無駄なことは実はひとつもないんだ、ということは、取材でも教わったし、僕自身も経験から学んだことでした。表面的なノウハウやマニュアルではなく、そういう本質的なことを、今後も伝えていければと思っています。

『書いて生きていく プロ文章論』
ミシマ社刊
定価:本体1600円+税

延べ3000人の有名人へのインタビューを繰り返してきた上阪氏が、そこから培われた仕事への信条を真摯にかつ、熱く語りかける。ライターだけでなく、文章に携わる仕事をするすべての人が必読ともいえる一冊。
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